好きなものをとことん味わい尽くすと世界が広がる
「あなたはもっと色んなドラマーを知るべきだ。」
初心者ならではのあるある、その道の諸先輩方からのありがたいアドバイス。
これをドラマーからご自身の仕事や同業者、ライフワークに当てはめてみたらどんな人にも言える話だ。
日本人は特に、広く浅く、知識豊富が好きな民族だ。
学校教育も相変わらず多数の強化をぼやっと詰め込ませるだけだし、物知りであれこれ蘊蓄が出る人はなんだか尊敬される。
食べ物の好き嫌いにしても。確かに好き嫌いは無い方が得だ、色んな味と出会えるから。でも嫌いなものはやっぱり食べられない。酷い場合はアレルギーとなる。なのに、未だに何でも食べよう教育も衰退知らずだ。
ジャズ愛好者の中にも、自分がいかにレコードを聴いてきて、自分のマニアックさをマウントごっこしてる人も少なくない。
でもね、そんなに色々知っておく必要ってある?
同じ時間があったら、好きなミュージシャンをとことん愛した方が幸せじゃない?
全世界で見てもジャズドラマー人口は1万人を下らない。
その全てを知るなんて、まず無理。
人生で使える時間は限られている。
仮に1人のジャズドラマーの演奏を聴く機会があったとして、ライブで見れば2時間あまり、ミュージックチャージを大雑把に相場で割り出して5000円として…。
それを1万人のジャズドラマーに対して行っていけばなんと833日、5000万円に相当するのだ!
それに、自分が興味を湧かないドラマーの演奏はどうにも心に残らない。
演奏は素晴らしい、テクニックもリズムも問題なし、でもそれで終わってしまう。
そして、次に聴いた時に思い出せないのがオチである。
知識を入れる、見聞を広めるためなのになんだか本末転倒ではなかろうか。
一方で、自分が好きになったドラマーの演奏なら、いくらでも聴いていられる。
ライブの数時間なんてホントあっという間だし、同じ曲をいつ聴こうが毎回いちいち脳内にドーパミンが放出されるのだ。
それこそ、本当に好きになったミュージシャンの音に出会ったきっかけなんて、最初のコンマ数秒でノックアウトされている。
同じ2時間があるなら、ただ知識を広めるためだけに使うか、快楽ホルモンを浴びながら幸せなひと時を過ごすのか、どっちがいいなんて聞くまでもない。
また、好きなミュージシャンから広がる世界は際限がない。
たとえば、ジャズドラマーならみんな大好きなエルビンジョーンズをとってみても、彼の参加している作品を聴いていくだけで、勝手に色んなミュージシャン名に出会う。
エルビンが参加していたマイルスやコルトレーン、ビル・エバンス、彼らの中からさらに気になって他のアルバムを漁っていたらまた別のドラマーが参加していたりと、新しい出会いが広がる一方だ。
現に、これまでトニーウィリアムズなんて見向きもしなかった私だが、お師匠が大好きなドラマーの1人だと聴いて試しに聴いてみたら、なんだこれ!とズキューンされてしまい、すっかりハマりこんでいる。
Tony Williams Quintet - NY Live 1989. Part 1 of 2 - YouTube
私がズキューンされたのはこちら⬆️
知識が多いのは良いことだ。しかし、それを仕入れるなら真面目に誰かのオススメを聴くより、自分が惚れたミュージシャンをとことん味わい尽くした方が楽しいし忘れられない。
というわけで、私に色々オススメしても、貴重なご意見ありがとうございますと右から左になるのでご了承を。
でもオススメモンブランの情報やプレゼントは有難く受け取りますよ(≧∇≦)